産業革命「工業の発展」
18世紀半ば1760年代から1830年代にかけてイギリスを中心とした最初の産業革命が起こりました。1733年にジョン・ケイが織機のシャトルや杼(ひ)と呼ばれる縦糸に横糸を通す道具を改良し飛び杼(Fling shuttle)を発明したことで手で杼を動かす必要がなくなり織機が高速化しました。さらに1764年にハーグリーブスが糸を紡ぐジェニー紡績機を発明したことで織物の生産速度が向上し、その後、水力紡績機や蒸気機関を動力とした織機が次々と開発され1830年には織物産業が完全に自動化されました。繊維業と並び製鉄業も発展し、石炭燃料を使った軽工業の機械化が進み蒸気機関車や蒸気船が登場したのもこの頃です。 1870年代以降、鋼鉄、機械、化学など石油を資源とした重工業が発展しイギリスからヨーロッパ、アメリカへと拡大していきました。これが第二次産業革命であり19世紀半ばから20世紀にかけ機械化はさらに進み大量生産が行われるようになります。 そして、1970年代から第三次産業革命へと発展し、この頃になるとコンピューターの登場により単純作業の自動化が実現し産業用ロボットの普及によって人間の作業の代替えが可能となりました。 2010年代から現在に至っては第四次産業革命と位置付けられ、AI(人工知能)やIoT(Internet of things)などの高度で知的なデジタル技術革新がさらに発展し、今まで人間にしかできなかったことがコンピューターやロボットで実現できるようにどんどん開発が進んでいます。
第四次産業革命の後に訪れるであろう第五次産業革命という言葉も登場しており、経済産業省からはビッグデータやAIによるデジタル技術と最新のバイオテクノロジーの融合によるスマートセルインダストリー(生物による物質生産)の実現への取組資料などが発表されています。
スマートセルインダストリーの実現への取組(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shomu_ryutsu/bio/pdf/008_03_00.pdf
第一次産業革命 | 18世紀 |
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第二次産業革命 | 19世紀半ば~20世紀初頭 |
第三次産業革命 | 20世紀~ |
第四次産業革命 | 21世紀~現在 |
産業(工業)と工学
手作業で織っていた織物業から始まり、機械化による自動生産や大量生産を実現させ、現代ではロボットが人間の仕事を代わりに行うまで産業は革新を遂げてきました。産業や工業の発展には工学という学問が活用されています。
簡単に述べると工学はモノづくりに活かす、役立てることを目的とした学問です。
語源のエンジンはラテン語の「考案」に由来しており、Engineerとは軍事用具・施設などを設計する職業人のことでした。
1818年に世界最初の市民工学会がイギリスで結成され、工学を「自然にある大きな動力源を人間に役立つように支配する術」と定義し、結成当初は土木工学が主流を占めていましたが、その後、蒸気機関車の発達にともない機械工学会が分化しました。
軍事工学から始まり、土木工学や機械工学、電子工学などのほか、自然科学に直接関与しない人間工学なども工学に含まれ、現在、文部科学省が定める日本の大学における学科系統分類表では工学は大まかな14の中分類に分けられ、さらに600を超えるほど多岐にわたる分類にまで細分化されています。
工学は自然科学を応用し人類に役立つ技術を研究・開発する学問でもあり、モノづくりに活かすことを前提としているため、自然科学を始め、テクノロジーやアート(言語、表現、デザイン)、数学のSTEAM要素を含む総合的な知識と経験が役立ちます。
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